気持ちを知る

気持ちを整理するには?紙に書き出す6つのステップ

更新 7分で読めます

気持ちを整理したいときは、体の感覚に目を向け、今の感情に近い言葉を探し、起きたことと一緒に書き出してみましょう。つらい、悔しいと感じている自分を、いったんそのままにしておきます。書いたものを読み返し、何が気になっているのか、今できることはあるかを考えます。今夜は何もしないと決めて、ノートを閉じてもかまいません。

仕事帰りの電車でも、会議で言われたひと言が頭から離れない。友人への返信を考えていたら、何に引っかかっているのか分からなくなった。そんな場面を想定して、手帳やノートの1ページで取り組める書き方をまとめました。

厚生労働省の「今の気持ちを書いてみる」では、人に見せることを前提にせず、自分の言葉で書く方法を紹介しています。書き出すことで、悩みから少し距離をとって眺められることがあります。手書きが面倒なら、スマホやパソコンでもよいとしています。

以下の6段階は、感情への気づきや書き出しについての資料をもとに、日記で試せる順番に並べたものです。この順番全体の効果を確かめたプログラムではありません。

気持ちを整理する6つのステップ

段階書くこと短い記入例
1. 気づく体の感覚や元気の程度肩に力が入っている。落ち着かない
2. 名前をつける今の感情に近い言葉悔しい。少し恥ずかしい
3. そのままにする感じている自分へのひと言今は悔しいんだな
4. 書き出す出来事と、そのときの気持ち会議で提案を流され、悲しかった
5. 問い直す大事にしたかったこと、別の見方準備したことを聞いてほしかった
6. 決める次にすること、または今夜の区切り明日の昼に、提案の補足を伝える

1. 体の感覚に気づく

言葉が見つからなければ、今の体の様子から書いてみてください。肩やあごに力が入っているか、じっとしていたいか、そわそわするか。理由はまだ分からなくて大丈夫です。

国立精神・神経医療研究センターのセルフヘルプ資料では、出来事を「考え」「気分・感情」「身体反応」「行動」の4つの側面から振り返る方法を紹介しています。また、ニューハンプシャー大学のムードメーターのガイドも、いったん立ち止まり、気分に伴う体の感覚に気づくよう勧めています。

最初のメモは「肩がこわばる。疲れた」だけでも十分。体の感覚だけで、感情や原因を決めつける必要はありません。

2. 今の気持ちに名前をつける

「もやもやする」の次に、もう少し近い言葉を探します。悔しい、がっかりした、心細い、寂しい、気が重い。ぴったりこなければ「悔しい気がする」と仮に書いておきましょう。

ムードメーターは、気分を快さとエネルギーの程度で分けて捉える道具です。言葉が出ないときは、「落ち着かない感じか、力が抜けた感じか」「心地よいか、つらいか」から考えてみてもよいでしょう。候補を見たいときは、気持ちを表す言葉の一覧も使えます。

感情を言葉にすることには、研究もあります。Liebermanらの4つの実験では、不快な写真をただ見る場合より、感情に名前をつけた場合のほうが、本人が報告する動揺が小さくなりました。ただし、写真を使った短い実験での結果です。日常の悩みが同じように軽くなると約束するものではありません。

「ほっとした。でも申し訳なさもある」のように、2つ書いてもかまいません。1語に絞らず、今の感覚に近い組み合わせを残します。

3. その気持ちを、いったんそのままにする

「こんなことで傷つくなんて」「もっと大変な人もいる」。そう考え始めたら、書く手を少し止めて、「今は傷ついているんだな」とだけ添えてみます。

国立精神・神経医療研究センターは、先ほどの資料で、今の体験に気づいてありのままに受け入れる方法としてマインドフルネスを紹介しています。ここでは、その考え方を参考に、感情の良し悪しをすぐに決めずに書いてみましょう。

Fordらの研究では、日頃から感情や考えを評価せずに受け入れる傾向が、実験で負荷のかかる課題に取り組んだ際の否定的な感情の小ささと関連していました。これは156人を対象にした研究で、受け入れようと決めればすぐ気持ちが変わる、と証明したものではありません。

また、この研究で区別されているのは、感情を受け入れることと、状況を受け入れることです。「腹が立っている」と認めながら、「あの言い方は困る」と考えていてもかまいません。相手に同意する必要はありません。

4. 起きたことと気持ちを分けて書く

次は、何があったかを書きます。その場にいなかった人に説明するつもりで、順番に。あとから、そのときの気持ちを添えます。

国立精神・神経医療研究センターの資料にならい、出来事と、頭に浮かんだ考え、感情を分けてみましょう。たとえば、次のように書けます。

出来事: 会議で提案したあと、返事がないまま別の話題に移った。

浮かんだ考え: 準備したことを、軽く扱われた気がした。

気持ち: 悔しい。人前だったので恥ずかしかった。

これは架空の記入例です。「提案に返事がなかった」は出来事、「軽く扱われた」はそのときの受け止め方として書き分けています。

整った文章に直さなくても大丈夫。厚生労働省の書き出しの案内でも、文章が苦手なら絵や落書きでもよいとしています。箇条書きのまま残しておきましょう。

5. 何が気になっているのか、問い直す

書いたものを読み、次のうち答えやすい問いを1つ選びます。

  • 本当は、どうしてほしかったのでしょうか。
  • この場面で大事にしたかったことは何でしょうか。
  • 今分かっていることと、まだ分からないことは何でしょうか。
  • 同じことを書いた友人には、何と声をかけるでしょうか。

ニューハンプシャー大学のガイドは、気分を手がかりに、何が助けになるかを自分に問うよう勧めています。国立精神・神経医療研究センターも、頭に浮かんだ考えを整理し、これからの工夫を考える資料を公開しています。

先ほどの例なら、「準備したことを最後まで聞いてほしかった」と書けるかもしれません。別の見方として、「時間が足りなかったのかもしれない。でも、提案をどう思ったかはまだ聞いていない」と足すこともできます。

無理に良い話にまとめず、分からない部分は残しておきます。「嫌われた」と思ったなら、その横に「相手の気持ちは、まだ確認していない」と添えるだけでもかまいません。

6. できることを決め、今夜は区切る

最後に、「この件について、具体的にできることはあるか」と考えます。英国の公的医療機関NHSの心配事への対処ガイドでは、できることがあれば、何を・どうやって・いつ行うかを具体的にするよう勧めています。

先ほどの例なら、「明日の昼休みの前に、提案について補足する時間を取れるか聞く」。まだ何もできないなら、「今夜は返信せず、明日読み返す」と書いて閉じます。

気持ちが消えたかどうかを、終了の条件にしなくても大丈夫です。今夜の作業をどこで終えるか、自分で決めてください。寝る前に同じことを考え続けるときは、夜に考えを書き出す手順も参考になります。

余裕がない日は、3行だけ

6段階すべてを書くのが負担なら、次の3行に縮めてみましょう。ここでいう3行は、短く書くための目安です。

何があった: 友人との予定が急にキャンセルになった。

今の気持ち: 寂しい。予定を空けていたので、少し腹も立つ。

これから: 今夜は返事を考えず、明日、別の日に会えるか聞く。

これも架空の例です。気持ちが分からなければ、2行目は「まだ分からない。胸が重い」でもかまいません。続きを書くかは、あとで決めます。

繰り返す気持ちを日ごとに残したいときは、感情日記の書き方と記入例へ。書く以外にも、信頼できる人に話す方法があります。厚生労働省の「こころの耳」も、感情を周りの人に聴いてもらうことや、自分では対応しきれない問題を専門家に相談することを挙げています。

つらい日が続いているときは

日記だけで抱え込まず、信頼できる人や専門家に話してください。書くことは、相談の代わりにはなりません。

いのちの電話のナビダイヤルは0570-783-556。10:00〜22:00、年中無休で相談を受け付けています。通話料がかかります。

ティーハウスで書いてみる

Bium Tea Houseは、気分と短い言葉を残す感情日記アプリです。今日の気分に合うティーカップを5つから選び、出来事のテーマをステッカーで添えて、ひと言、または好きな長さで書きます。次に訪れたときには、メイが日記に短いメモをはさんでおり、このメモは生成AIで書かれます。

← 記事一覧へ